輸入濃縮果汁原料が「国産ワイン」?これからは国産ブドウ100%のみ

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突然だが想像してみてほしい。
生産地の風景を思いながら飲むワイン、日本にもようやく制度が整います。

日本を除くほとんどのワイン生産国では法律により原料となるブドウを収穫した土地をワインの産地として表示することが義務付けられており、フランスやイタリアなどでは産地によって使用できるブドウ品種、収穫量、製造方法まで細かく定められている場合もあります。

しかし、日本ではブドウの産地にかかわらず、国内で醸造を行うことで「日本産」と表示することが可能で、濃縮果汁を輸入して国内で製造したワインが「日本産ワイン」「国産ワイン」として店頭に並ぶことは決して珍しいことではなく、流通している75%は輸入した濃縮果汁が原料となっています。

国税庁では「日本産ワイン」「国産ワイン」の表示ルールを見直し、早ければ2015年10月中にも国産のブドウを原料とするワインのみが「日本産ワイン」として販売されるようにルール作りを始めています。

これまでは業界や一部の自治体により独自の基準を設けていることはありましたが、濃縮果汁などの輸入原料で生産されたワインも「国産」と名乗ることができ、国産ブドウから生産されたワインとそれ以外を明確に区別する表示ルールはありませんでした。

国税庁では「日本ワイン」の表示を設け、地域で育てたブドウを85%以上使用した場合に限り「産地名」をラベルに表示できるようにし、また、産地内で醸造されたものかも表示することにしています。

ルール制定により、これまでの輸入された濃縮果汁などを使用したワインは「輸入果汁」などの表示が必要となり、日本の地名を使うことはできなくなり、違反した業者には罰則金を科すことも可能となります。

国税庁の担当者は「基準を厳格化することで国産ワインの品質を高め、海外にPRしたい」としています。

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日本のワインの75%は輸入原料

ワインの代表的な産地として知られるのはフランスやイタリア、ドイツ、スペインなどで、ヨーロッパでは歴史上古くからワイン造りが行われています。

近年では「ニューワールド」と呼ばれる近代以降にワイン造りが始まった地域、アメリカやチリ、南アフリカ、オーストラリアなどで安定した気候や企業経営を背景に、一般消費者でも手軽に買い求められるワインが生産されてきました。

日本でも明治時代にワインの生産は始まっていましたが当時は需要も少なく、本格的にワインに対する消費者の関心が高まったのは1980年代頃だと言われています。

ワインの味はブドウの品種や気候、土壌などに影響すると言われ、品質を保証するためにも厳しいルールがあり、フランスの「アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(AOC)」と呼ばれる原産地呼称統制が有名で、生産地を表記するためにはその産地のブドウを100%使用していなければならないとされています。

2009年以降はヨーロッパ連合(EU)で統一した「アペラシン・ドリジン・プロテジェ(AOP)」と呼ばれる保護原産地呼称が導入され、生産地のブドウを85%以上使用することで生産地名を表記することが可能となっています。

日本国内でもブドウ栽培から手掛けるワイナリーは増えてきていますが、その比率はまだまだ小さく、国税庁の調査によると2014年度に造られたワイン9万5千キロリットルのうち、4分の3にあたる75%が輸入した濃縮果汁を原料としていることがわかっています。

消費者に分かりやすい表記

新しく作られるルールにより、国内で製造したワインでも輸入した濃縮果汁などを使用したワインには「濃縮果汁使用」などの表示が義務付けられ、一方で国産のブドウのみを原料としたワインは「日本ワイン」と表示ができるようになります。

また、国内の特定山地のブドウを85%以上使用することで、「○○産ワイン」と特定の地名を表記することも可能です。

たとえば、原料の85%以上が山梨のブドウで、産地と醸造地が同じく山梨である場合は「山梨ワイン」と表示することができ、醸造地のみが東京である場合は「東京醸造ワイン 山形産ブドウ使用」などといった表示になる見込みです。

また、ブドウの使用量が85%未満の場合は産地を表示できませんが、「東京醸造ワイン」と醸造地を表示し、「ブドウは東京産地ではありません」といった表示をする必要があります。

新ルールは、消費者に分かりやすい表示と日本ワインの振興を目的としており、違反した場合は酒類業組合法に基づいて改善の指示、命令に加えて罰金などの法的措置がとられます。

生産者であり地元産ブドウを使うワイナリーの多い長野県のワイン協会理事長を務める塚原嘉章・井筒ワイン社長は「産地表示は造り手や土壌、風土といった地域のワイン文化を伝えやすい」と評価しています。

食事や気候、気分に合わせて選ぶことができるワインの選択肢に「日本ワイン」が入り、ブドウの産地の風景を思い浮かべながらワインを飲める日がもうすぐやってきそうです。

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