突然だが想像してみてほしい。
ボディービルから力士に挑戦し、頂点を目指す男がいる。
大相撲の名古屋場所が7月12日から、愛知県体育館で開催されています。
ボディービルダーから力士に転身したとして注目を集め、5月夏場所「序ノ口二十五枚目」でデビューした「朝山端」(あさやまばな)は、名古屋場所では「序二段四十七枚目」として白星スタートを切っています。
朝山端は「序二段」に昇進した名古屋場所でも突き押しに徹するスタイルは変わらず、両腕を交差するような体制から立ち合いで思い切りぶつかり、自力に任せて力強い突き押しで圧倒し、見事な速攻劇を見せました。
「一番一番集中して取るだけです」と朝山端は会心の勝利にも表情は引き締め、名古屋の暑さにばてた時期もあったといいますが、盛り上がった全身の筋肉には陰りが見えません。
3月に高砂部屋に入門してからは、ボディービルの「魅せる筋肉」から相撲仕様の「戦える筋肉」にするためにプロテインの摂取はやめ、ひたすらちゃんこを食べて、ウエイトトレーニングではなく相撲のけいこで筋肉を鍛え上げています。
「ようやく相撲部屋の生活にも慣れてきました」と笑顔で話す朝山端は序ノ口だった5月夏場所は6勝1敗の好成績を収めており、名古屋場所でも同じような好成績を残せば三段目に昇進する可能性があります。
将来の目標は「頂点の横綱です。やるからにはやってやろうという気持ち」と語る朝山端は、「序二段」での勝ち越しを当面の目標とし、未来の横綱に向かって突き押し相撲に磨きをかけていきます。
朝山端
朝山端は高砂部屋(元大関朝潮)に所属する、1992年9月29日生まれの22歳です。本名は山端克忠さん、兵庫県加西市出身で身長は182.0cm、体重129.0kgとなっています。
小学生から大学1年生までは剣道に取り組んでいたといい、大学中退後に大阪市城東区にあるトレーニングジムでトレーナー兼ボディービルダーとして活動していました。
そして「高砂部屋の人に誘われ、部屋を見学してやってみる価値があると感じた」と角界入りを決意し、2015年2月の新弟子検査に合格し、3月場所で初土俵を踏み、5月の夏場所「序ノ口二十五枚目」では関西大学出身として初の力士で「居反り」などの奇手を得意とする宇良(木瀬部屋)と全勝対決を行い、敗れはしたものの6勝1敗という成績を残し、7月名古屋場所では「序二段四十七枚目」に昇進しています。
朝山端は、元大関千代大海(佐ノ山親方)のような突き押し相撲が理想とし、将来の目標として「頂点の横綱」を掲げています。
現在は、同じ高砂部屋に所属する朝赤龍の付き人としての仕事もあり多忙ながらも、「序二段での勝ち越しを決めたい」と力強く誓っています。