芥川賞、直木賞の選考で栄誉ある受賞作・作家となるのは

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突然だが想像してみてほしい。
自分の書き上げた一文字一文字が、一冊の本となり多くの人の目に触れる喜びを。

第152回芥川龍之介賞、直木三十五賞(平成26年度下半期)の選考が2015年1月15日に行われます。

芥川賞は上田岳弘さん「惑星」、小野正嗣さん「九年前の祈り」、小谷野敦さん「ヌエのいた家」、高尾長良「影媛(かげひめ)」、高橋弘希さん「指の骨」の5作品が候補作となっています。

小野さんは「水死人の帰還」「マイクロバス」「獅子渡り鼻」に続いて4回目、小谷野さんは「母子寮前」に続き2回目、高尾さんも「肉骨茶」に続き2回目のノミネートとなりました。

直木賞は青山文平さん「鬼はもとより」、大島真寿美さん「あなたの本当の人生は」、木下昌輝さん「宇喜多の捨て嫁」、西加奈子さん「サラバ!」、万城目学さん「悟浄出立」の5作品が候補作品です。

万城目さんは「鹿男あをによし」、「プリンセス・トヨトミ」、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」、「とっぴんぱらりの風太郎」に続く5回目、西さんは「ふくわらい」に続き2回目のノミネートをはたしています。

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芥川賞の候補作品・作家紹介

芥川賞候補となった5作品と作家を紹介します。

上田岳弘さん「惑星」

過去から未来にわたり全人類の思考や経験を把握できる「最終結論」に語り掛け、2020年の東京オリンピックに向かい進んでいくSF小説。

  • 1979年兵庫県明石市生まれ
  • 早稲田大学法学部卒
  • 大学卒業後、法人向けソリューションメーカーの立ち上げに参画、役員を勤める
  • 2013年「太陽」第45回新潮新人賞を受賞
  • 2014年「太陽」と候補作を収録した「太陽・惑星」で単行本デビュー

小野正嗣さん「九年前の祈り」

精神的に不安定な息子を抱え、故郷の小さな集落に戻ったシングルマザーが抱く悩み、9年前ともにカナダを旅行した女性との記憶とが語られていく、痛みと優しさに満ちた物語。

  • 1970年大分県生まれ
  • 東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学
  • 立教大学文学部文学科文芸・思想専修准教授
  • 2001年「水に埋もれる墓」第12回朝日新人文学賞受賞
  • 2001年「にぎやかな湾に背負われた船」第15回三島由紀夫賞受賞
  • 2002年「水死人の帰還」第128回芥川賞候補(2002年下期)
  • 2008年「マイクロバス」第139回芥川賞候補(2008年上期)
  • 2012年「獅子渡り鼻」第148回芥川賞候補(2012年下期)
  • 2013年「獅子渡り鼻」第4回早稲田大学坪内逍遙大賞[奨励賞]

小谷野敦さん「ヌエのいた家」

父である「ヌエ」に対して静かに燃える怒りを抱く「私」を描いた私小説。

  • 1962年茨城県生まれ
  • 東京大学文学部英文科卒業
  • 大阪大学言語文化部講師・助教授、国際日本文化研究センター客員助教授などを経て文筆業
  • 2002年「聖母のいない国」サントリー学芸賞[芸術・文学部門]
  • 2010年「母子寮前」第144回芥川賞候補(2010年下期)

高尾長良「影媛(かげひめ)」

「日本書紀」を題材にした悲劇の恋物語。高尾さんは京都大学医学部在学中で平成4年生まれの22歳。受賞すれば平成生まれで初の芥川賞受賞者となります。

  • 1992年東京都世田谷区生まれ
  • 京都大学医学部在学中
  • 2012年「肉骨茶」第44回新潮新人賞
  • 2012年「肉骨茶」第148回芥川賞候補(2012年下期)

高橋弘希さん「指の骨」

太平洋戦争屈指の激戦地となった南洋の島で兵士たちが何を思い、何を体験したのか。一人の兵士が遭遇した戦争の現実を描いた作品です。

  • 1979年青森県十和田市生まれ
  • 文教大学卒業
  • 大手予備校講師として勤務
  • 2014年「指の骨」第46回新潮新人賞受賞。

直木賞の候補作品・作家紹介

直木賞候補となった5作品と作家を紹介します。

青山文平さん「鬼はもとより」

時は江戸時代、藩札と呼ばれる「通貨」の管理に秀でた主人公は財政に苦しむ藩を助けるコンサルタントとなる。極貧の藩財政を立て直しに死の覚悟すら漂わせる武士の気概を描いています。青山さんは66歳で受賞すれば歴代で2番目に高い年齢での直木賞受賞者となります。

  • 1948年神奈川県横浜市生まれ
  • 早稲田大学第一政治経済学部卒業
  • 経済関係の出版社に18年勤務した後、1992年よりフリーライター
  • 1992年「俺たちの水晶宮」第18回中央公論新人賞
  • 2011年「白樫の樹の下で」第18回松本清張賞

大島真寿美さん「あなたの本当の人生は」

作家とその秘書、内弟子の新人作家という「書く」ことに囚われた三人の女性たちの物語から、本当の運命・人生とは何かを問いかけてきます。

  • 1962年愛知県名古屋市生まれ
  • 1992年「春の手品師」第74回文學界新人賞

木下昌輝さん「宇喜多の捨て嫁」

下剋上を成し遂げ戦国大名となった悪辣・宇喜多直家の末娘の嫁入りを描いています。母や姉は政略の犠牲となり自害・狂気に追い込まれたなか、末娘がどう未来を切り開いていくかが見どころです。

  • 1974年大阪府大阪市生まれ
  • 近畿大学理工学部建築学科卒業
  • ハウスメーカーに約5年勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動
  • 2012年「宇喜多の捨て嫁」第92回オール讀物新人賞

西加奈子さん「サラバ!」

イランで生まれた主人公は、小学生となりエジプトに移り住む。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに。激動の時代に自分を見失わず静かに戦った主人公の物語です。

  • 1977年イラン・テヘラン生まれ
  • 関西大学法学部卒業
  • 2007年「通天閣」第24回織田作之助賞[大賞]
  • 2012年「ふくわらい」第148回直木賞候補(平成24年/2012年下期)
  • 2013年「ふくわらい」第1回河合隼雄物語賞

万城目学さん「悟浄出立」

「西遊記」の脇役である沙悟浄が語り手となり、孫悟空や猪八戒、三蔵法師との対話を通じて何かを悟るまでを描いています。

  • 1976年大阪府生まれ
  • 京都大学法学部卒業
  • 化学繊維メーカーに勤務ののち、2005年『鴨川ホルモー』でデビュー
  • 2005年「鴨川ホルモー」第4回ボイルドエッグズ新人賞
  • 2007年「鹿男あをによし」 第137回直木賞候補(平成19年/2007年上期)
  • 2009年「プリンセス・トヨトミ」第141回直木賞候補(平成21年/2009年上期)
  • 2010年「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」第143回直木賞候補(平成22年/2010年上期)
  • 2013年「とっぴんぱらりの風太郎」第150回直木賞候補(平成25年/2013年下期)

芥川賞、直木賞の選考はどうやって行われるのか

芥川賞、直木賞の選考は東京都中央区築地にある老舗の料亭「新喜楽」で行われています。芥川賞は1階、直木賞は2階の座敷で各選考委員によって議論されることになります。

芥川賞の選考委員

  • 小川洋子
  • 奥泉光
  • 川上弘美
  • 島田雅彦
  • 高樹のぶ子
  • 堀江敏幸
  • 宮本輝
  • 村上龍
  • 山田詠美

直木賞の選考委員

  • 浅田次郎
  • 伊集院静
  • 北方謙三
  • 桐野夏生
  • 高村薫
  • 林真理子
  • 東野圭吾
  • 宮城谷昌光
  • 宮部みゆき

(敬称略)

直木賞の選考過程については宮部みゆきさんが第144回(2010年下半期)の選考後の記者会見で次のように語っています。

2時間半かかりましたが、受賞作が決まりました。いつものように最初全員で5作の候補作に対して投票しました。
犬飼さんの「蛻」と、荻原さんの「砂の王国」、貴志さんの「悪の教典」が相対的に点数が低かったということで、一つずつ意見を交わしながら、残念ながら今回は見送ろうということになりました。その時点から「漂砂のうたう」と「月と蟹」の議論に集中しました。

直木賞選考委員・宮部みゆきさん 記者会見ほぼ全文掲載です
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/100/70094.html

芥川賞の選考過程については奥泉光さんが第147回(2012年上半期)の選考後の記者会見で次のように語っています。

今回5作品が候補作になっていまして選考委員が最初に投票を行いまして、○×△で、○はこの作品を是非推したい、△はほかに強く推す人がいれば反対はしない、×はあまり賛成できないという投票を行った。

芥川賞 選考委員の奥泉光さん会見
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/126476.html

いずれの賞も選考委員が各々良いと思うものに投票し、2~3時間で議論していくと言う形を取られているようですね。

芥川賞、直木賞の違いは

芥川賞と直木賞は、芥川龍之介・直木三十五の友人であった菊池寛によって1935年に創設されました。それぞれの賞には選考基準が設けられていますが、しばしばあいまいになることがあります。

芥川賞は、主に無名もしくは新進作家による純文学作品に与えられる文学賞
直木賞は、無名・新進・中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞

無名・新進作家とはどこまでが対象になるかなどの議論もあり、他の文学賞を複数受賞しているような作家が芥川賞を受賞することも珍しくありません。また、直木賞においては実質的には既に一定の実績のある人気実力派作家のための賞という傾向があります。

なお、それぞれ受賞者には正賞として懐中時計、副賞として100万円が授与され、芥川賞は「文藝春秋」に掲載、直木賞は「オール讀物」に掲載されることになっています。

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