突然だが想像してみてほしい。
若い選手を自前で育成していくことが強化の近道。
Jリーグの加盟条件として、スタジアムや経営状況、チームの運営状況などの項目が定められており、チーム運営の項目では実際にJリーグの試合に参加するチームだけではなく、育成組織(下部組織)によるクラブユースチームの運営義務なども規定されています。
Jリーグを目指すための進路としては、ユースからの昇格の他にも高校や大学を経由したり、海外を経由してからなど様々な方法があります。
J1が18チーム、J2が22チーム、2014年度から創設されたJ3は12チームと全52チームで構成されるJリーグ、今回はJ1、J2チームについて入団状況を見ていきましょう。
2015年チーム構成比率
2015年シーズンの高卒新人、大卒新人、自チームユースから昇格、他チームユースから入団、外国籍の選手の比率が次の表のとおりです。
J1 | 構成比 | J2 | 構成比 | J1・J2合計 | 構成比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
高卒 | 120 | 23.4% | 123 | 19.2% | 243 | 21.1% |
大卒 | 167 | 32.6% | 259 | 40.5% | 426 | 37.0% |
自ユース | 94 | 18.3% | 91 | 14.2% | 185 | 16.1% |
他ユース | 75 | 14.6% | 94 | 14.7% | 169 | 14.7% |
外国籍 | 57 | 11.1% | 72 | 11.3% | 129 | 11.2% |
このデータより、J1、J2ともに高卒新人選手よりも、自チームもしくは他チームのユースチームから昇格、入団した選手が多いことがわかります。また、構成比は大卒新人、ユース、高卒新人の順で多くなっています。
また、J2ではJ1と比較して大卒新人選手が1.5倍、他チームユース選手が1.25倍多いことがわかります。
このデータはJリーグが目指すユース年代の強化という点である一定の成果が出ていると見ることができ、J1とJ2において必要としている選手層に違いがあることも見えてきます。
J2では大卒新人選手を中心により即戦力となりうる選手を獲得し、自チームのユースだけではなく他チームユースの出身でも将来の戦力として若手を発掘をしていると言えるでしょう。
J1 | 高卒 | 大卒 | ユース |
---|---|---|---|
仙台 | 28.6% | 42.9% | 3.6% |
山形 | 17.9% | 50.0% | 3.6% |
鹿島 | 41.4% | 13.8% | 24.1% |
浦和 | 29.6% | 18.5% | 18.5% |
東京 | 17.2% | 31.0% | 17.2% |
柏 | 14.8% | 11.1% | 55.6% |
川崎 | 17.9% | 42.9% | 10.7% |
湘南 | 3.7% | 55.6% | 14.8% |
横浜 | 20.7% | 34.5% | 31.0% |
甲府 | 10.7% | 60.7% | 7.1% |
松本 | 25.0% | 50.0% | 0.0% |
新潟 | 33.3% | 12.5% | 12.5% |
清水 | 26.5% | 20.6% | 29.4% |
名古屋 | 29.0% | 35.5% | 16.1% |
大阪 | 21.4% | 14.3% | 46.4% |
神戸 | 22.2% | 25.9% | 22.2% |
広島 | 27.6% | 27.6% | 17.2% |
鳥栖 | 25.0% | 35.7% | 0.0% |
J2 | 高卒 | 大卒 | ユース |
---|---|---|---|
札幌 | 28.6% | 11.4% | 40.0% |
水戸 | 15.4% | 50.0% | 0.0% |
栃木 | 11.5% | 65.4% | 0.0% |
群馬 | 18.5% | 51.9% | 0.0% |
大宮 | 14.3% | 42.9% | 21.4% |
千葉 | 20.0% | 24.0% | 24.0% |
東京 | 7.4% | 29.6% | 48.1% |
横浜 | 31.3% | 31.3% | 9.4% |
金沢 | 14.3% | 75.0% | 0.0% |
磐田 | 29.6% | 37.0% | 18.5% |
岐阜 | 25.9% | 51.9% | 0.0% |
京都 | 22.6% | 16.1% | 35.5% |
大阪 | 20.6% | 11.8% | 35.5% |
岡山 | 16.7% | 42.9% | 19.0% |
讃岐 | 30.0% | 43.3% | 0.0% |
徳島 | 17.9% | 28.6% | 0.0% |
愛媛 | 8.0% | 72.0% | 4.0% |
福岡 | 29.6% | 11.1% | 18.5% |
北九州 | 25.9% | 59.3% | 3.7% |
大分 | 10.7% | 50.0% | 10.7% |
長崎 | 6.7% | 60.0% | 0.0% |
熊本 | 13.8% | 44.8% | 10.3% |
各チーム別では、J1で柏レイソル、ガンバ大阪、横浜Fマリノス、清水エスパルスのユース出身選手が約30%を超え、J2ではコンサドーレ札幌、東京ヴェルディ、京都サンガ、セレッソ大阪のユース出身選手が40%を超えています。
そして高卒新人を積極的に獲得しているのは鹿島アントラーズ、浦和レッズ、アルビレックス新潟です。
両リーグで唯一、ユース出身選手が50%を超える柏レイソルは15名のユース出身選手が在籍し、他2名をレンタル移籍させています。
年々減る高卒新人選手
年々狭き門になりつつあるJリーグ選手への入り口は、J1、J2ともに年々高卒新人選手が減少しており、J1では2006年、J2では2009年を分岐点として自ユース出身選手が高卒新人選手を上回っています。
Jリーグが理念として掲げる育成組織(下部組織)によるクラブユース環境の整備は徐々に浸透してきている状況で、ユースに所属している選手がトップチームの試合に出場することも珍しくはなくなってきています。
ユース選手が増加するのと反比例して減少する高卒選手は大学経由でプロに入ることが多くなってきたともいえるでしょう。