初の発見、ヘビが滑らかに動く秘密は「剥がれない潤滑油」コーティング

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突然だが想像してみてほしい。
あの気味の悪いくらいの滑らかさの秘密が明らかに。

ヘビといえば体をくねらせて地面を滑らかに這い回る姿が特徴的ですが、足もないのに木に登る、灼熱の砂漠を走る、水中を軽やかに泳ぐ、そして木から木へと飛び移ることもできるのです。そんなヘビの皮の表面は極めて薄い潤滑油で覆われていることがわかりました。

アメリカ・オレゴン州立大学の化学工学者ジョー・バイオ氏と、ドイツのマックス・プランク高分子研究所のトビアス・ヴァイドナー氏との共同研究チームが「Journal of the Royal Society Interface」に発表した論文によると、ヘビの表面を覆う極めて薄い潤滑油の厚さはわずか数ナノメートルで、人間の髪の毛の直径の数万分の1しかないといい、この潤滑油こそがヘビの不気味ともいえる滑らかさを実現しており、新しい工業用の潤滑剤やコーティング剤の改良につながることが期待されています。

Journal of the Royal Society Interface

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ヘビの驚くべき動き

ヘビは地上を這い回るだけでなく、上手に木に登りさらには木と木の間を飛び移ることもでき、また泳ぐことや熱い砂漠の砂の上でも平気に動ききまわります。これは何百万年にも及ぶ進化の結果、ヘビの体を覆う皮が優れたものに変化していたっと考えられます。

ヘビの皮はひとめではっきりしているにもかかわらず、長年説明がつかなかったという特徴があり、腹側の皮は背中側の皮に比べ非常に滑らかであるということでした。

もちろん、移動の際に障害物にひっかからないようにすることを考えれば腹側の皮が滑らかであるのは不思議なことではありませんが、科学者らが高解像度の顕微鏡で調べてみても腹側と背中側の皮の構造に違いは見られなかったのです。

そうして、皮の構造に違いがないのであれば何らかの物質が腹側の表面を覆っているのだと研究者らは考えたのです。

極薄のコーティング

アメリカ・オレゴン州立大学の化学工学者ジョー・バイオ氏は、ドイツのマックス・プランク高分子研究所のトビアス・ヴァイドナー氏との共同研究チームを率いて、カリフォルニアキングヘビ(Lampropeltis californiae)の脱皮殻を念入りに調べました。

研究チームはヘビの皮のすみずみにまでレーザーを照射し、表面分子がどのようにレーザー光を反射し散乱するのかを調査しました。

この調査方法はマイクロエレクトロニクス部品の検査に用いられるようなもので、「通常であればこのような調査方法はとらない」とジョー・バイオ氏は語ります。「私たちがヘビの皮を持ち込んだのを見た物理学者たちは、いったい何を始める気だ、と内心思ったでしょう」

結果、極薄の脂質の層がヘビの皮をコーティングしていることがわかり、研究に用いたカリフォルニアキングヘビは腹側と背中側で別々の潤滑油ともいえる脂質の層が使われており、特に腹側については背中側よりもはるかに滑らかな層が作られていることが明らかになりました。

研究チームでは腹側のコーティングについて、プロの技術者でさえもこれほどに巧妙なコーティングをできないだろうと語っています。

コーティングがこれまで気づかれなかったわけ

ヘビははるか昔から皮膚の表面をコーティングしていたのにもかかわらず、これまで人間ははっきりと原因を知ることはできませんでした。

たとえば、ナメクジは潤滑剤を分泌しながら通り道を滑らかにし、濡れた跡を残していくことはよく知られています。しかし、ヘビの体をコーティングする潤滑油は皮の表面から剥がれず、耐久性のある滑らかな層を構築し、拭い取ることができないためになかなか気づくことができなかったのです。

ジョー・バイオ氏は、ヘビの種類によって潤滑油の成分が異なる可能性を指摘し、今後人工的な材料にも同じようなコーティングを施せる可能性に期待しています。

ヘビの潤滑油の秘密が明らかになることでレスキューロボットの技術発展にも役立つことや、次世代塗料の改良に役立つことも考えられ、今後さらなるヘビの滑らかな動きの秘密の解明に期待が高まります。

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