将棋電王戦FINAL第5局、阿久津八段vsAWAKE 阿久津八段勝利

将棋電王戦FINAL第5局の 阿久津主税八段対AWAKEの対局が4月11日、東京の将棋会館で行われました。

棋士側の2連勝のあと2連敗で迎えた最終局はAWAKE開発者巨瀬亮一さんによる開発者権限での投了により、わずか49分、21手で突然の終局。阿久津主税八段が勝利を収め、棋士の3勝2敗で電王戦で初の勝ち越しを決めています。

阿久津主税八段は「形勢が良くなる局面ではあったが、投了は少し早いかなと思った。100%勝てるといえる状況ではなく、有利ではあったが注意して指していこうと考えていた。人間相手にはやらない作戦なので葛藤もあった」と話しています。

AWAKE開発者の巨瀬亮一さんは「△2八角と打ってしまったら▲2六香と上がられたところで投了しようと決めていた。アマチュアが指した形なのでプロが指してくるかどうかはわからないと思っていた。こうした穴があるのは、しかたがないところもある。最初から勝ちにはそれほどこだわっていなかった。アマチュアが先に指した手なので、プロは指してこない可能性もあると思った」と話し、無念さをにじませました。

AWAKEには「この形になると9割負ける」という悪手を打つ局面が存在しており、電王戦の関連イベント「電王AWAKEに勝てたら賞金100万円」で、AWAKEが唯一敗北していたのが角交換から「2八角」と打たせた手によるもので、このイベントの前に阿久津主税八段は研究により状況を把握していたといいます。

対人間・対コンピュータに関わらず対戦相手のことを研究し尽くすのは必然のことであり、弱点は攻められるのが常だといえます。阿久津主税八段の見事な勝利でした。

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将棋電王戦

将棋電王戦は第2回から棋士5人と将棋コンピュータソフト5種の対戦が行われています。

2014年第3回は棋士の1勝4敗、2013年第2回は棋士の1勝3敗1分とこれまではコンピュータ側の圧倒的な勝利を残していました。

将棋コンピュータソフトは原則として「電王トーナメント」(2014年11月1日から11月3日)に出場した際のソフトウェアを使用するもの、というルールが存在しており「電王戦FINAL」への出場に際しプログラム修正はできなくなっています。

また出場棋士は、「将棋電王戦」で対局するソフトおよびハード(Intel Core i7Extreme5960X EE 3.0GHz 8コア)が貸し出され練習対局が行えるようになっています。

18時から行われた会見要旨

阿久津主税八段

電王戦に出ることが決まってから半年間、無事に対局が終わってホッとしている。半年間の研究で手厚い将棋を指す手強い相手だと感じていた。相手の悪手を誘う手段をとったが、勝つために最善を尽くした。

「面白い」将棋を指すのがプロ棋士として一番だが、ルールの中で一番の手を選ぶことを二週間前には決めていた。

AWAKE開発者の巨瀬亮一さん

今日の将棋に関しては、事前にアマチュア相手に嵌められた将棋であり、プロがするのは残念で、プロ棋士が行うことではないと考えている。コンピュータの悪い部分を引き出して勝つというのは、コンピューターと人間の共存ではない。

面白い将棋を指すのもプロ。今日の将棋はそれを否定するもので、プロの存在を脅かしている。

桜井昇八段(立会人)

短い手で終わったのは残念、永瀬拓矢6段とのエキシビジョンは良かった。

谷川浩司日本将棋連盟会長

阿久津八段もソフトの弱点を自力で発見し、弱点を突くかは葛藤があったと思う。どれだけ強くできるか試行錯誤の段階で長所もあり短所もあり、人もソフトウェアもその点においては変わらない。

森内俊之九段(解説)

電王戦のルールの中で棋士もソフトウェア開発者も全力を尽くした結果。

藤井猛九段(解説)

コンピュータと戦うときはこのような手も必要だ。

株式会社ドワンゴ川上量生会長

ソフトウェアの貸し出しは将棋連盟の反対を押し切って主催者のドワンゴ側が決めたこと。プロ棋士同士の対戦では面白い将棋を指すことにも使命があるが、コンピュータはそうではなく通常のルールは実は公平ではない。

いわば「異種格闘技戦」だから、そもそもフェアな戦い、公平なルールは存在しない。電王戦はそれも含めて大成功である。

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