「黒板消し」を「ラーフル」と呼ぶ人は鹿児島県出身です

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突然だが想像してみてほしい。
黒板消しを「ラーフル」と呼ぶ地域があるということを。

近年では学校にもホワイトボードが増え、黒板は少しずつ減っていると言われています。黒板と言えば、チョークで文字などを書き「黒板消し」で文字を消してという運用を行いますが、その「黒板消し」を「ラーフル」という何とも聞きなれない言葉で呼ぶ地域があることをご存知でしょうか。

メーカーなどや学校向けなどの文房具卸業者は一般的にも「ラーフル」と呼ばれていますが、鹿児島県や宮崎県、愛媛県では一般の人でも「黒板消し」「黒板拭き」などと他地域で呼ばれている呼び方ではなく「ラーフル」と呼んでいる人が多いようです。

「ラーフル」は商品名としても使われており、教師をしていた鹿児島市の石田正義さん(88)は「ラーフル」について27年にも及ぶ研究を冊子にまとめました。

石田正義さんは元高校の英語教師で、語源について職場で何度も話題になりましたが由来はわからず、1989年(平成元年)に私立高校を退職した直後から本格的な研究を開始しました。

「ラーフル」という言葉については、オランダ語で「ほつれ糸」や「こすること」を意味する「rafel」が語源とする説や、英語で「くず」を意味する「raffele」が語源ではないかなど諸説あります。

「黒板消し」については、鹿児島工業高等専門学校教授であった上村忠昌さんの論文「ラーフル考」によると、「ラーフル」の意味がわからなかった一部の教員が使い方そのものを表す「黒板消し」という言葉を使い始めたことが、わかりやすさもあって全国的に広まったと見られ、戦前までは「ラーフル」という呼び方が全国的に主流だったようです。

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ラーフルの伝承

黒板消しが「ラーフル」とオランダ語を語源とした理由は、やはり江戸時代の鎖国下において唯一交流があった西洋の国だからと考えられています。

机などの学校で使われるものにオランダ語がつかわれていた例があり、「ラーフル」もそのひとつだった可能性は十分にあり、確認できる最古の用例は1880年(明治13年)、沖縄の標準語教育のために沖縄県庁が製作した教科書である「沖縄対話」に「石板ト、ラープル」という記述がみられます。

翌1881年には大阪の小学校の内部資料として「白墨・ラーフル費」と記載されていたこともわかっており、教科書に載るくらい標準的な呼び方であったと見られ、沖縄から大阪までと西日本で広く使われていたことが推測されます。

明治も初期を過ぎるとオランダ以外の西洋文化の影響が強まり、オランダの影響力は徐々に弱まる中、「ラーフル」という言葉は使われ続けました。

「沖縄対話」の中に「ラープル」という単語を発見した明海大学教授の井上史雄さん(社会言語学・方言学)は鹿児島県、宮崎県、愛媛県の地理的な要因を挙げ、「古い言い方は辺境に残る」という方言学の理論通りで、言葉が伝わる過程で江戸時代にオランダと交流のあった長崎により近い西日本に色濃く分布したとみており、「」「大阪までは伝わった。東京まで伝わることもあったかもしれない。しかし東北までは行かなかった」として、ラーフルに限らず南蛮語の一般傾向といえるようです。

「ラーフル」と呼ぶ人

現在でも鹿児島県、宮崎県、愛媛県で一般に呼ばれる「ラーフル」をその他の地域でも知っている人は、学校用品や文具を扱う業界の関係者かもしれません。

「ラーフル」は方言として西日本の一部地域に限られる呼び方ですが、業界用語としては東日本を含めて使われており、大手メーカーである日本理化学工業(神奈川県川崎市)でも製品カタログの商品名に「ラーフル」を使用する会社を何社もあります。

日本理化学工業によれば「他社製品との差別化のためにラーフルと名付けた、という側面は間違いなくあると思う」としており、同じように考えた会社や、それを模倣した会社が続き、業界用語にまでなっていったということも考えられるのでしょうか。

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