突然だが想像してみてほしい。
代表を決めるにも様々な思惑があり、この選考は吉と出るか。
日本陸上連盟は3月11日東京都内で理事会を開き、8月に中国・北京で行われる世界選手権の男女マラソン代表各3人を決定し、発表しています。
代表発表会見では女子の代表選手選考を巡り、解説者の増田明美さんと日本陸上連盟幹部が「バトル」を繰り広げることになりました。
女子の代表に選ばれたのは「名古屋ウィメンズ」で日本女子として8年ぶりの2時間22分台を記録した前田彩里選手(23)=ダイハツ=、「大阪国際」で日本人トップでゴールした重友梨佐選手(27)=天満屋=、「名古屋ウィメンズ」で日本人2位だった伊藤舞選手(30)=大塚製薬=の3名です。
男女の選考会で唯一、横浜国際を優勝した田中智美選手(27)=第一生命=は代表選考から外れることになりました。
なお、男子は2015年2月の東京で日本歴代6位となる2時間7分39秒をマークした今井正人選手(30)=トヨタ自動車九州=、2014年12月の福岡国際で日本人トップの藤原正和選手(34)=ホンダ=、2015年3月のびわ湖毎日で日本人トップの前田和浩選手(33)=九州電工=が選ばれています。
世界選手権で8位以内に入った場合は、2016年リオデジャネイロオリンピックの代表に決定します。選ばれた選手も、選ばれなかった選手も目標のオリンピックに向けて、高いレベルでの競争に期待したいところです。
増田明美さんと陸連のバトル
田中智美選手の選考外について、増田明美さんは「びっくりしました。なぜ同じ26分台で大阪で3位だった重友さんなんでしょうか?」と質問し、陸連の酒井強化副委員長は「前田、伊藤、重友は我々の設定している22分30秒を目指す走りだった。優勝は評価するが、田中選手の走りは世界と戦うという意味では内容は物足りないものがあった。出ていた選手のレベルも若干劣っていたというのもマイナス要素」と説明。
しかし、その返答にも増田さんは「重友さんは確かに復調の兆しがあったが、まだまだのように見えた。優勝した田中さんには圧倒的な強さがあったと思う。これで本当にいいのでしょうか」と納得しませんでした。
酒井副委員長は「我々も現場のプロ。世界を目指す上で、評価した」と改めて説明し、その場の「バトル」は収束しました。
その後も陸連側は、「2時間22分30秒」を目指した走りを評価したと説明しておりましたが、増田さんは最後に再び「最初からハイペースでいけば、世界と戦えるのか。世界を見ると、後半上げていくことを重視している選手もいる。この説明を聞いても、すっきりしないです」と不透明な代表選考に疑問を呈しました。
重友梨佐選手
重友梨佐選手は1987年8月29日生まれで、2012年ロンドンオリンピック女子マラソン日本代表でした。
2015年1月25日に出走した自身3回目となる大阪国際女子マラソンでは、3連覇を果たしたタチアナ・ガメラ選手(ウクライナ)に10Km付近で追いつくも、中間折り返し地点を過ぎた後に徐々に遅れ、30Km過ぎには2位となったのエレナ・プロコプツカ選手(ラトビア)にもかわされましたが、日本人トップとなる3位でゴールしていました。
年月 | 大会 | 順位 | 記録 | 備考 |
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2011年4月 | ロンドンマラソン | 24位 | 2時間31分28秒 | 初マラソン・世界陸上大邱大会選考レース |
2012年1月 | 大阪国際女子マラソン | 優勝 | 2時間23分23秒 | 初優勝・自己記録・ロンドン五輪選考レース |
2012年8月 | ロンドンオリンピック女子マラソン | 79位 | 2時間40分6秒 | 日本女子では最下位 |
2013年11月 | ニューヨークシティマラソン | 11位 | 2時間31分54秒 | 日本女子では首位 |
2014年1月 | 大阪国際女子マラソン | 64位 | 2時間58分45秒 | 2014年アジア競技大会選考レース |
2015年1月 | 大阪国際女子マラソン | 3位 | 2時間26分39秒 | 日本女子では首位・世界陸上北京大会選考レース |
田中智美選手
田中智美選手は1988年1月25日生まれです。
2014年3月に出走した初めてのマラソン「名古屋ウィメンズ」では5位に入り、日本陸連のナショナルチームに名を連ねていました。
2014年11月19日の横浜国際女子マラソンでは、最後の直線までフィレス・オンゴリ選手(ケニア)と競り合い、一度は前に出られながらも逆転でゴールに飛び込みました。
年月 | 大会 | 順位 | 記録 | 備考 |
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2014年3月 | 名古屋ウィメンズマラソン | 5位 | 2時間26分05秒 | 初マラソン |
2014年11月 | 横浜国際女子マラソン | 優勝 | 2時間26分57秒 | 世界陸上北京大会選考レース |