刑事裁判での「主文後回し」に込められる意味は?

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突然だが想像してみてほしい。
裁判の「主文」と「理由」、その順番にすら裁判官の意図が含まれている。

刑事事件裁判の判決の結論である「主文。被告人を懲役○○年に処する」という部分は、判決公判の最初にまず読み上げられるのが通常です。

この「主文」のあとに判決理由が述べられることになりますが、世間の注目を集めるような重大事件では「主文後回し」として、先に判決の理由を述べてから最後に「主文」として判決を言い渡されることがあります。

「主文後回し」となる理由は、「冒頭に結論となる主文を先に聞いてしまうことで、被告人が動揺して引き続き朗読される理由を落ち着いて聞いていられなくなるから」だと言われています。

「被告人の動揺を避けるため」というとおり、「主文後回し」は多くの場合「死刑判決」が下ることが多くなります。

よって「主文後回し」となった段階で、速報として報道されることも多く、これは暗に「死刑判決」をほのめかしていることにもなっています。

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判決の「主文」と「理由」

刑事訴訟法や刑事訴訟規則では、「主文」と「理由」の順番は規定されているわけではなく、刑事訴訟規則35条2項に「判決の宣告をするには、主文及び理由を朗読し、又は主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければならない」と記載されているものの、「順序」については特に定められていません。

では、刑事裁判の判決における「主文」と「理由」には、それぞれどのようなことが述べられるのでしょうか。
「主文」では、被告人に科されるべき刑の内容が具体的に明らかにされ、「理由」では、「主文」を導き出した具体的な根拠が説明されることになります。

ほとんどの刑事裁判の判決では、「主文」の次に「理由」を述べられることが多く、例外的に「主文後回し」になる場合は、「死刑判決」となるような場合です。

「主文後回し」は被告人心理への配慮

「死刑判決」の場合に「主文後回し」となる理由は、「冒頭に主文、『死刑判決』と宣告された被告人が動揺して、その後の『理由』を冷静に聞いていられないから」だと言われています。

裁判による判決を言い渡す目的には、被告人にその内容を十分に理解させることが必要で、検察による起訴に対して裁判所がどのような判断を下したのかを被告人が理解して初めて、その判決に対する態度を決めることができるからだとされています。

しかし、「主文後回し」=「死刑判決」が慣行化されていることもあり、「主文後回し」にする効果も薄れてきたためか、最近では「無期懲役」を言い渡す場合にも「主文後回し」にする場合もあるようです。

例外的な「主文後回し」

また、「死刑」「無期懲役」以外にも「主文後回し」となるケースがあります。

それは、刑務所に服役することになる「実刑」か、そうではない「執行猶予」かが争点となるような場合です。
この場合に「主文後回し」になる理由も、目的は変わらず「被告人の十分な理解を求めること」に違いはありません。つまり、冒頭の「主文」で「執行猶予」ということがわかると、被告人は安心してしまい「理由」を真剣に聞かなくなるのではないかという懸念があるからです。

実刑を回避し執行猶予となる場合には、裁判官は様々な点を考慮したうえで被告人に対して刑務所での更生ではなく、社会での生活を通じて更生を期待していることだともいえます。

その裁判官の期待や願いを、被告人は重く受け止めて更生してほしいということから、通常とは異なり「理由」を先に述べる「主文後回し」となると考えられています。

いずれにしても刑事裁判では、裁判官らの思いが「主文後回し」などにも見え隠れしているともいえ、その心遣いが被告人にも届くとよいのですが。

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