「美容室で男性ヘアカット」がようやく解禁か

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突然だが想像してみてほしい。
より競争の激しくなる時代に求められるのは、専門性か、汎用性か。

美容師は男性にヘアカットだけのサービスを提供できない、理容師は女性にパーマを行ってはならない、という約40年前に厚生労働省が通知したルールが緩和されることになりました。

男性が「美容室でヘアカット」だけのサービスを受けるのは法令違反である、というのは以前にも取り上げていましたが、実際には男性でも美容室を利用している方は多く、実情にそぐわないのが現状でした。

男性の「美容室でヘアカット」は法令違反になるってほんと?
突然だが想像してみてほしい。 昔に決めたルールも、時代に沿って見直すべきだろうということを。 「美容室でのヘアカット」は法令違反の疑いがある、というニュース日本経済新聞に報道され、美容師業界に動揺が広がっています。 「美容師」が男性の髪をカットするのが「違反...

また、美容師と理容師は同じ店舗で働けないという規制についても一部緩和される見込みで、形骸化したルールが実態に合わせてようやく見直しされることになります。

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理髪店と美容院での「パーマ論争」がきっかけ

そもそも、美容師は男性にヘアカットだけのサービスを提供できない、理容師は女性にパーマを行ってはならない、というルールが決められたのでしょうか。

このルールは、1978年(昭和53)に旧厚生省の局長通知として各都道府県知事あてに通達されています。

厚生労働省によると、この通知は「刈り込みを主とした理容師法と、パーマを主とした美容師法で曖昧だった業務の範囲を明確にしたもの」だとしています。

背景には「パーマ論争」と呼ばれた理容・美容業界での論争がもとになっており、全国理容生活衛生同業組合連合会によると、1974年(昭和49)頃に訪れた男性の長髪ブームをきっかけとして、理髪店で男性のパーマが行われたり、美容院での男性のヘアカットが行われるようになりました。

「美容師の業務であるパーマを理容師が行うのはだめだ」「しかし、理容師の業務である男性ヘアカットを美容師に行っている」と、お互いの業務範囲を超えていることに激しい論争が繰り広げられたといいます。

論争に決着をつけるべく当時の業界団体は話し合い、「美容院ではパーマを伴ったヘアカットは男女ともに認めるが、男性のヘアカットのみは認めない」「理容店では男性のパーマは認めるが、女性のパーマは認めない」という内容で合意し、旧厚生省の局長通知として現在にまで至っていました。

男性は20代以下で70%超、30代で50%超が美容院利用

通知が出されてから約40年、時代は流れルールは有名無実化しているのが現状で、安倍晋三首相も美容院でヘアカットをしていることが知られています。

東急電鉄(東京)が2014年に実施したアンケートでは、「美容院、理髪店のどちらを利用するか」との問いに対し、男性の20代以下では73.6%、30代では54.4%が美容院と回答しています。

規制改革会議の作業部会では「実態に全く合っていない」「男性と女性によって分けるなんてあり得ない」との意見が相次いだことで、2015年度中に厚生労働省は規制を撤廃することを決定しました。

理容師と美容師が同じ職場で働けるように

また、1948年(昭和23)に出された「理容師と美容師は同じ場所で働けない」とする規制も、全員が両方の資格を持つ場合に限り2016年度から認め、改正後5年をめどに再検討することになっています。

この規制は「理容の施設と美容の施設とはそれぞれ別個に設けなければならない」という旧厚生省の局長通知によるもので、「ひげそりの技術を習得していない美容師がひげそりを行う可能性が高まる」「刈り込み技術を学ばない美容師が刈り込みをしたら虎刈りとなるおそれが高い」と厚生労働省では規制の理由を説明しています。

しかし、規制改革会議の作業部会では「資格がある人とない人が同じ場所で一緒に働くケースはどんな世界にもある。わざわざ職場を別にする必要は全くない」などの意見が出たことを受け、今回の決定に至っています。

とはいえ、理容師、美容師と両方の資格をもつ人はそれほど多くないといい、10年ほど前から規制緩和を訴えてきたヘアカット専門店「QBハウス」を国内外で展開するキュービーネット(東京)の松本修管理本部長は「撤廃にはほど遠い。今までのゼロ回答に比べ、ほんの少し反応があった程度」と指摘し、政府にさらなる緩和を求めています。

理容師と美容師

理容師、美容師にはそれぞれ免許の取得が必要で、大学入学資格を持つもの(高卒者)が厚生労働大臣の指定するそれぞれの養成施設に2年以上通い、それぞれの国家試験に合格する必要があります。

また、「理容」とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」(理容師法第1条の2第2項)、「美容」とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること」(美容師法第2条第2項)とそれぞれの法律で定義されています。

法律に加え、旧厚生省が出した通達をもとに、「美容師は男性にヘアカットだけのサービスを提供できない」「理容師は女性にパーマを行ってはならない」「美容師と理容師は同じ店舗で働けない」とルールを決めることで、住み分けを図ってきました。

しかし、現在では顧客ニーズの多様化や、新規顧客の獲得のためにお互いの領域に進出し「理容室で女性のパーマを行う」「美容室で男性のヘアカットを行う」ということは珍しいことではなく、事実上黙認されている状態です。

顧客のニーズにより歴史的経緯を超越し、理容・美容統一資格を策定すべきとの意見もあり、過渡期においては理容師・美容師の資格者に新資格を与えることや、資格の相互認定や、一定の講習を経て相互の資格を認可するなどが想定されています。

資格統一以前に現場レベルでは融合が進行しつつありユニセックスサロンと呼ばれる複合サロンが増えてきています。

また、従来にない競争の時代を迎え業態も多様化しており、顔そりからエステを行うサロンやヘッドスパ専門サロン、会員制リラクゼーションサロンなど多様なサロンが出現している中で、両資格の専門性をより高めるための動きも見られています。

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