人間ピラミッド、人間タワー、安全を考慮し組体操の規模縮小へ

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突然だが想像してみてほしい。
力を合わせて作り上げた形の美しさと、そこに潜む危険性。

「スポーツの秋」と呼ぶにはまだ早いかもしれませんが、運動会や体育祭が学校などで開催される季節になりました。運動会と言えばリレーなどの競争種目に加え、多くの人数で行われる組体操も華のひとつでしょう。

しかし、組体操の規模が大きくなりにつれ大きなけがにつながる事故も相次ぎ、教育委員会や学校では規模を縮小する動きが広まっています。

大阪の教育委員会では、組体操の人間ピラミッドの段数を5段まで、円形に積みあがる人間タワーは3段までと規制をかけることを発表し、全国で事故報告などが相次いでいることから規制が必要との判断に至ったとしています。

組体操を通じてこどもたちが努力する大切さや、多くの人と力を合わせてひとつのものを作り上げていく経験は大切だという意見と、後遺症が残るほどの大きな事故になることもあり危険を回避する必要があるという意見がある中、組体操の扱いは今後どのようになっていくのでしょうか。

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組体操の危険性

組体操は演目上の性質として高所からの落下や衝撃により、上肢切断、歯牙障害、脊柱障害などの事故事例が多く報告されており、1983~2013年度の31年間に学校の組体操において障害の残った事故は88件、そのうち2012年度までの10年間で20件発生しており、2012年度に小学校で起きた組体操による事故は6533件、2013年度では8500件を超えています。

組体操による事故に詳しい名古屋大学の内田良准教授は、事故が相次ぎリスクが明らかになった今、学校や教育委員会は組体操の内容を見直すべきだと訴え、「これだけ負の側面が見えてきて、リスクマネジメントとして、学校はちゃんと対応していかなければならない事態だと思います」と話しています。

組体操での多くの事故は練習中に起きており、規模の大きなピラミッドやタワーから落ちてしまうこどもを受け止めるためには多くの教員を配置する必要がありますが、人数を確保するのにも限界があり、さらには確保できたとしても落下時にうまく受け止められるとは限りません。

組体操を実施している学校では、地域や保護者から組体操への期待、そしてこどもたち自身が規模の大きなピラミッドに取り組むことが憧れにもなっているといいます。

しかし、一歩間違えれば一生の後遺症を背負うことにもなりかねず、組体操の安全対策はより一層考える必要があると言えるでしょう。

規模縮小の動き広がる

多くの事故を受け、組体操の実施を見直す動きは全国に広がっており、昨年までは高いところでピラミッドが7段、タワーは4段の演技を披露した愛知県の尾張旭市では9月に教員を対象として組体操の指導法研修会を開きましたが、この秋に行われる運動会では多くの学校がピラミッドとタワーを3段以下にすることを決めています。

尾張旭市教育委員会では、「組み体操によって一生涯障害が残るくらいの事故があったと聞いています。去年と同じような組み体操の指導体制ではあってはならない。より一層、子どもが安全で安心な組み体操になるように改めて確認したうえで実施する必要があると思います」と話しています。

また、大阪市では組体操の「高さ制限」を設け、ピラミッドは5段以下、タワーは3段以下の制限を決め、各学校に通達しています。

他にも、京都府京田辺市立田辺小学校では、昨年まで6年生が3段と4段のタワーを披露してきましたが、全国的に事故が相次いでいることがから、今年から組体操そのものをやめる決断を下しています。

組体操に取り組むことは、こどもの目標にもなっていたことから、1学期の終わりに5、6年生全員を集め、藤原真校長が「1人でもケガをしたら成功とは言えず、安全が何より大事だ。別の種目で新しい伝統を作ろう」と説明したとしており、今年は全員で踊りを披露する予定だとしています。

藤原校長は「こどもたちの体力差も大きく、全員同じことをする組み体操に難しさを感じていた。こどもの安全に勝るものはない」と話しており、今後も組体操の規模縮小、実施の中止が進んでいく傾向は続いていくことでしょう。

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