幻の「ラジオ体操第3」復活、適度な有酸素運動で全国的ブームに

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突然だが想像してみてほしい。
少しでも体を動かすことで、心身共にリフレッシュする。

ラジオ体操といえば「第1」と「第2」があることが知られ、「第1」は学校の授業などで一度は行ったことがある方が多いと思われます。

その「ラジオ体操」に「第3」があるのをご存じでしょうか?

「ラジオ体操第3」は動作が複雑で音声だけでは覚えにくく、戦後の食糧不足など不安定な世相もあって浸透せず、1946年から1年半というわずかな期間だけNHKで放送されていました。

そのため「幻の体操」とされていましたが、2013年に龍谷大学社会学部の安西将也教授(公衆衛生学)と井上辰樹教授(運動生理学)が、当時の音源と動作の解説が載った冊子を基にして現代によみがえらせました。

復活した「ラジオ体操第3」は、放送から約70年を経た現代でブームになりつつあり、滋賀県内の自治体が市民の健康づくりに活用しており、大阪や東京の企業も社員向けとして導入されてきています。

「ラジオ体操第3」は「第1」、「第2」よりも少し激しい運動が生活習慣病の予防などにぴったりといい、夏には解説書やCDも登場し、今後ますます広まっていく勢いです。

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ラジオ体操

「ラジオ体操」は、1928年(昭和3)旧逓信(ていしん)省簡易保険局が昭和天皇即位を記念して「国民保健体操」を発表、同年11月1日の朝7時に、NHK東京中央放送局から初めての放送が行われました。

その後改定が加えられ、現在の「ラジオ体操第1」は「老若男女を問わず誰でもできることにポイントを置いた体操」とされ、一般的に「ラジオ体操」というと「第1」を指すことが多いでしょう。

「第2」は「体をきたえ筋力を強化することにポイントを置いた体操」で、ややテンポの速い音楽で、「第1」よりも運動量が多く、主に小学校高学年から高等学校、青壮年の間で使われています。

そして幻といわれた「第3」は、「第1」「第2」よりも全身を激しく動かす少し激しい運動が3分15秒続き、足踏み、屈伸、ジャンプに首回しをテンポの速い音楽にあわせて行います。日常的にできる少し強めな運動として、生活習慣病の予防効果も期待されています。

ラジオ体操第3の復活

「ラジオ体操第3」復活のきっかけは、龍谷大学の安西将也教授(公衆衛生学)が2013年に滋賀県東近江市から健康づくり事業への協力を依頼されたことでした。

日常的にできる強めの運動として、以前から存在だけは知っていた「ラジオ体操第3」に着目、古いレコード音源や動作解説書を探し出し、同大の井上辰樹教授(運動生理学)と共に曲と動作を復刻しました。

「ラジオ体操第3」は適度な有酸素運動が続き、1分間の平均心拍数は「127.7」と、「第1」の「100.4」に比べて激しい運動で、参加者同士が動作をそろえるのも難しく、一体感が生まれる効果もあるといいます。

龍谷大学の瀬田キャンパス(大津市)では、2015年春に学生有志約20人でサークルも発足、サークルのメンバーは動きをマスターするまでに約1か月かかったといい、メンバーは「頭も使い、朝一番で体を動かすとすっきりした気持ちになる」と話しています。

またサークルでは、自治体などの依頼を受けて各地へ「ラジオ体操第3」の動作を教えに行っており、「初めてお手本を見せると笑いが起き、『こんな動きが本当にできるようになるの』と驚かれる」と話します。

広がる「ラジオ体操第3」

「ラジオ体操第3」は滋賀県東近江市や隣接する多賀町では市民向けの普及教室が開かれ、多賀町では2014年6月から「第3」の庁内放送を始め、始業前に職員が身体を動かしており、職員は「普段使わない筋肉を動かすので体がしゃきっとする。仕事のスイッチが入る感じ」と効果を実感しています。

東近江市でも昼休みの職員の運動に採用されたほか、大阪府門真市にある「パナソニックAVCネットワークス」の事業所でも、朝や昼のミーティング時などに取り入れたほか、昼食時に食堂で体操を放映し、社員の約4割が「第3」を体験、意欲的に取り組む職場チームの表彰も始めたといい、担当者は「職場コミュニケーションの向上につながる。楽しい健康づくりにぴったりの体操」と語っています。

また、「ラジオ体操第3」は東京都のアパレル会社でも朝礼時に採用しているといい、少しずつ広がりをみせつつあります。

注目度が高まりつつある状況で、自治体や企業からの問い合わせも相次ぎ、2015年5月にはKADOKAWAよりDVD付き解説書を、7月には日本コロムビアよりCDを発売しています。

健康づくりの目的通り心身の健康への効果も明らかになり、安西将也教授らの調査では、「ラジオ体操第3」は「第1」「第2」に比べて負荷が高く、消費カロリーは倍近くなるといい、3か月間実施した職場では職員の心の状況が改善したといいます。

安西将也教授は「これぐらいの運動は、適度な有酸素運動になり、うつ病の予防など精神的にもいい作用がある。70年たっても通用するすごい体操。老若男女の健康づくりの一助として、さらなる普及を目指したい」と話しています。

DVD付き解説書はKADOKAWA、税別1,000円。CDは日本コロムビア、税別1,200円で、いずれも題名は「幻のラジオ体操第3」となっています。

「幻のラジオ体操第3」:KADOKAWA

「幻のラジオ体操第3」:日本コロムビア

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