突然だが想像してみてほしい。
「忠犬ハチ公」ならぬ「忠犬シロ」の里親を探しています。
「忠犬ハチ公」というと、亡くなった飼い主の帰りを東京・渋谷駅の前で約9年間待ち続けていた秋田犬として有名で、渋谷駅前にある「忠犬ハチ公像」は渋谷のシンボル、待ち合わせの場所として知られています。
そんな「忠犬ハチ公」と同じように、二度と帰ることのない飼い主を待ちながら、空き家となった自宅に1匹で住み続ける「忠犬シロ」が福岡県北九州市小倉北区にいます。
「シロ」は週末には自身の里親探しのボランティアとともにJR小倉駅前へ赴き、夕方に自宅に帰ると全速力で部屋に駆け込み、大好きだった飼い主を捜すと言います。
周囲の人たちは現代のハチ公、「忠犬シロ」に胸を痛め、やさしく育ててくれる里親を探しています。
忠犬シロ
「忠犬シロ」は白い毛色の紀州犬ミックスで、3歳のオスです。
飼い主であった1人暮らしの高齢女性は2015年5月に亡くなっておられ、遺族がシロの対応に困っているのを知ったボランティア団体「アニマルライフプロジェクト」(福岡県赤村)の沼山喜代香代表が里親を探すことになりました。
シロは誰にでもなつくような性格をしており、飼い主への愛着もひとしおで、沼山代表が約1時間かけて赤村の自宅に連れて行った時には「24時間吠え続け、疲れ切った顔になった。小倉に帰ったら安心してぐっすり眠った」と言います。
現在は遺族やボランティアが交代でシロが1匹で暮らす家を訪ね、餌やりなどの世話をしておられます。
シロは玄関が開くと飼い主が帰ってきた思うのか、尻尾を振りながら飛び出しますが、飼い主ではないとわかるとしっぽを下げてがっかりしてしまいます。
飼い主は救急車で搬送されてそのまま還らぬ人となったためか、「救急車の音には今でもすごく反応する。帰ってくるかもと思うのでしょう」と沼山代表。
とはいえ、「しっかしとした新しい飼い主が見つかれば、賢い犬だから懐くはず」と、シロの頭を撫でながら小倉駅前で里親を探しています。