店舗内カメラで来店客の顔データを取得管理、客層把握や万引き防止

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突然だが想像してみてほしい。
防犯カメラが防犯目的だけだと考えるのはもう古い。

近年ではさまざまな小売店で防犯カメラが設置されていますが、防犯目的として万引き防止に使われることはもちろん、撮影した来店客の顔の特徴を分析し、POSと連動することで過去の来店履歴や購入した商品の履歴などを簡単に管理できるシステムが導入され始めています。

しかし、防犯カメラで取得した来店客の顔データは、2015年秋に改正された個人情報保護法では「個人識別符号」と位置付けられたため、取得する際には利用目的を示さなければいけない個人情報であることが明確になされましたが、本人が気づかないうちに顔データが防犯目的以外に活用されているケースも少なくないようです。

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来店客をカメラで識別、過去の購買履歴とリンク

作業着などを扱う全国チェーンの店舗は、2015年7月からチェーン店の一部店舗に「顔確認システム」を導入しました。このシステムでは商品を購入するためにレジに来た来店客の顔を従業員の背中側に設置されたカメラで捉えると、レジ裏にあるパソコンに「男性 38歳 ID:*****」と表示される仕組みになっています

「顔確認システム」を導入した企業の役員は「目や鼻の位置などの特徴をデータ化しIDを割り振る仕組みで、レジのPOS(販売時点情報管理システム)と連携させることで、客の購買履歴が簡単に管理できる」と説明します。

また、「建設業界の労働人口は高齢化で先細りしている。新しい客層を開拓するためにも、誰がどんな商品を好むのかを把握していく必要がある」と力説します。

しかし、2015年秋に改正された個人情報保護法では、個人情報の定義がより詳細に定められ、「顔データ」は個人識別符号という「個人情報」にあたる、ということが明確になりました。個人情報を取得している場合には、その利用目的を本人に通知、もしくは個人情報を取得していることを公表する必要がありますが、このチェーン店では「ビデオカメラ作動中」という告知がなされているだけでした。

企業の役員は「顔の画像は1日で消すため、個人情報にはあたらない」と話しましたが、内閣官房IT総合戦略室では「顔の画像があるかどうかは関係なく、特定の個人を識別しているのであれば顔データも個人情報である」という見解をしています。

このチェーンでは指摘により、「カメラ画像をマーケティング調査に使っています」というように告知を変えたといいます。

万引き客の顔データを保存

全国で約100店舗を超える丸善ジュンク堂書店では、全店舗での顔認識システムの導入を進めています。万引きした疑いのある来店客の顔データをデータベースに登録し、データベースに登録された客が来店すれば検知する仕組みとなっています。

店舗内には「防犯カメラ作動中」との告知話されていますが、顔認識機能があることには触れられていません。「通常の防犯カメラも顔認識カメラも防犯という撮影目的は同じで問題ない」という考え方に基づいているとしているからです。

ただし、プライバシー問題に詳しい森亮二弁護士によると、「特定の個人を追跡する機能をもつ顔認識システムの方が肖像権やプライバシー侵害の度合いが強く、防犯カメラと顔認識システムは区別する必要がある」と指摘します。

東京地裁で2010年にコンビニエンスストアの防犯カメラによる撮影に違法性が争われた訴訟の判決で、肖像権侵害は否定しましたが、「防犯カメラが固定されており特定の個人の動きを追跡するものではない」ことが理由に挙げられました。

一方で顔認識システムのカメラも固定はされているものの、顔データを取得することで特定の個人の動きを追跡することにもつながる可能性があり、丸善ジュンク堂では「今後、表示の変更を検討する」との見解を示しました。

森亮二弁護士は「顔認識システムを採用していることを明記し、嫌だと感じた人はその店を利用しないで済むようにするなど、透明性を確保することが大事だ」と話しています。

国内に広がる顔認識システム市場

顔認識システムの国内市場は入退室管理やパソコンの認証用だけに限っても2014年の2億6000万円から2018年には5億円規模にまで拡大する見込みです。

システムの発達により「誰がどの商品、どの陳列棚を何秒間見つめていたか」までを識別できるようになっており、行動分析への活用も広がると予測されています。

2014年4月には独立行政法人・情報通信研究機構がJR大阪駅と駅ビルで、顔の特徴データから人の動きを追跡する実験を予定していましたが、プライバシーに関わる問題から延期されており、誰の画像であるかということよりも顔の特徴がデータ化された場合に個人情報となるのかがあいまいであったことが混乱の要因ともなり、2015年秋の個人情報保護法案改正にもつながりました。

しかし、顔データの取得方法などについて国や業界に指針はない一方で、欧米ではすでにルール作りに動き出し、EUでは2012年にインターネット上での顔認識について「明示的な本人の同意が必要である」との考え方を公表し、アメリカ連邦取引委員会も2012年に発表した指針で、「顔認識技術を使用していることを消費者に認識させる」「子供が集まる場所には導入しない」などとしました。

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