突然だが想像してみてほしい。
クリスマスケーキを食物アレルギーのある人とともに食べよう。
まもなくクリスマス、プレゼントはもちろんのこと、クリスマスケーキを楽しみにしているこどもも多いことでしょう。小麦粉や卵、牛乳にアレルギーを持っていると楽しみも半減しかねませんが、最近ではアレルギーの原因となる材料を使用していないクリスマスケーキが人気を集めており、取扱店舗や種類が拡大しています。
幼稚園に通うこどもが卵や牛乳にアレルギーを持ち、他のこどもたちと同じ給食を食べられないためにお弁当を持参させている女性は、「クリスマスのような特別な日だけでも他のこどもたちと同じようにケーキを食べさせたい」と願い、アレルギーに配慮している市販のケーキを購入しはじめ、「手作りは難しいので、取り扱う店が増えてありがたい」と話しています。
しかし、アレルギーに配慮したと謳うケーキを扱う店が増える一方で、消費者庁の事故情報データバングには「アレルギー対応ケーキを食べたらアナフィラキシーショックを起こした」、「卵不使用のケーキを注文したが、通常と同じく卵を使用したケーキだった」などというトラブルが増えてきました。
アレルギーに配慮したケーキを取り扱う店舗でも、通常と同じく小麦粉や卵、牛乳を使用した一般向けのケーキを作っている場合があるため製造過程での混入も考えられ、十分な対応ができている店舗ばかりとは限らず、これまでの販売実績や、店舗に原材料や製造過程について質問し、知識や理解があるかどうかを確かめておくことも大切でしょう。
米粉や豆乳でつくるケーキ
文部科学省の2013年調査によると、全国の公立小中高で食物アレルギーのあるこどもは全体の4.5%、約41万人に上ります。中でもケーキの材料にもなる小麦や卵、牛乳にアレルギー反応を持つこどもが多いことが明らかになっています。
そうしたアレルギーを持つこどもの増加とともに、アレルギーに配慮したケーキは街のケーキ店から大手メーカーなどからも販売されるようになってきています。
アレルギーに配慮したケーキは小麦や卵、牛乳の代わりに米粉や豆乳などが使用されており、息子がアレルギーを持つという東京都中野区にあるケーキ店「洋菓子工房きらら」の店長は「アレルギーがあるこどもにケーキを与えるのを諦める親は多い。材料の配合の割合などを試行錯誤し、見た目も味も一般のケーキと変わらないおいしさを追及している。アレルギーを気にせず、家族で一緒にケーキを楽しく食べてほしい」と話します。
このケーキ店では、アーモンドパウダーや豆乳などでケーキを作り、しっかりした生地にあっさりした甘さのクリームが特徴で、クリスマスケーキは全国に冷凍配送もしているといい、2014年は約600件の注文を受け付けました。
また、洋菓子の大手メーカーやクリスマスケーキの販売に取り組むコンビニエンスストアでもアレルギーに配慮したケーキの販売に力を入れています。
シャトレーゼ(山梨)では12年前より小麦粉と卵を使用しないクリスマスケーキを取り扱っており、2014年は約1万個を販売しました。スポンジとクリームの原材料を見直すなど改良を重ね、2015年は牛乳を使用しないチョコプレートをつけるなどクリスマスケーキらしい華やかさも取り入れ、広報担当者は「コクのあるクリームやふんわりとしたスポンジなど、一般のケーキにもっと近づけたい」と話します。
他にも「イオン」や「ローソン」でアレルギーに配慮したケーキが取り扱われる予定です。購入される際には不使用の材料を確認してください。