14億円の浮上式防波堤「浮かない」ために建設を断念

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突然だが想像してみてほしい。
地震のエネルギーは人の想定を超えることもあるということを。

国土交通省近畿地方整備局は2月18日、和歌山県海南市に設置を進めていた世界初「浮上式防波堤」の建設を断念すると発表しました。

「浮上式防波堤」は近畿地方整備局が2009年度から事業着手し、2019年度の完成を目指しておりましたが、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後に引き上げられた想定震度を検討したところ、「浮かない」可能性が高くなったとしています。

総事業費250億円の計画で現在までに14億円を投じておりましたが、改良には総事業費が770億円に膨らむこと、完成時期も10年以上ずれ込む見通しとなったことから計画断念が決定しました。

津波防ぐ浮上式防波堤、「浮かない」と建設断念
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150219-OYT1T50012.html

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浮上式防波堤

浮上式防波堤は、和歌山県下津港の海底(水深13.5メートル)に鋼管(直径約3メートル、長さ約29.5メートル)78本を直立にして設置が進められていました。

鋼管は二重構造で、内側にある鋼管が空気圧で押し上げられ、海面から最大の高さ7.5メートルまで浮上し、津波を食い止める想定でした。

2009年度、「南海トラフ巨大地震」など大地震への備えとして総事業費250億円で建設が始まりましたが、東日本大震災後に引き上げられた想定震度で専門家らが構造の妥当性を検討した結果、海底地盤のダメージが当初の想定よりも大きく、海底部分の鋼管が変形してしまい想定通りに浮上しない可能性があると結論付けられました。

海底地盤の補強により事業の継続は可能とされていますが、総事業費が当初の3倍となる770億円が見込まれ、完成時期も当初予定の2019年より10年以上ずれ込む見通しとなるために計画を断念し、代替策として既存堤防のかさ上げなどを進める予定です。

これまでに約14億円を投じて鋼管3本を敷設しており、平常時における浮上実験は成功しておりましたが、今後は浮上させた状態のまま通常の防波堤の一部として流用されることになります。

近畿地方整備局の北出徹也・港湾空港企画官は「住民らの期待を裏切る結果になり申し訳なく思う。より確実に人命を守るため、苦渋の決断として中止を決めた」と話しています。

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