突然だが想像してみてほしい。
無敗の5階級制覇王者、史上2人目の6階級制覇王者、「最強」をかけた対戦の結果は?
今世紀最大、ボクシング史上最高の一戦ともいわれる「フロイド・メイウェザー・ジュニア」と「マニー・パッキャオ」による頂上決戦がアメリカ・ラスベガスの「格闘技界の殿堂」MGMグランド・ガーデン・アリーナで行われます。
ボクシング一家に育ち稀代のディフェンスマスターとして無敗の5階級制覇を達成した「フロイド・メイウェザー・ジュニア」と、事実上「8階級」を制覇しアメリカンドリームを成し遂げたフィリピンの英雄「マニー・パッキャオ」の二人の対戦は2009年に対戦交渉を行って以来、長らく実現することなくボクシングファンが待ち望んだ「世界最強決定戦」です。
WBA、WBC、WBOと3団体のウェルター級王座を懸けた統一戦ですが、この試合がたとえノンタイトル戦であったとしても、価値が衰えることはなかったでしょう。
世紀の一戦の結果は、「フロイド・メイウェザー・ジュニア」の「3-0」判定勝ち!「史上最強」の名を手にしたのは「フロイド・メイウェザー・ジュニア」となりました!
判定は「116-112」が2人、「118-110」が1人と結果ではメイウェザーの完勝となっています。判定ほどの一方的な展開になったわけではありませんが、前に出るパッキャオに対し、堅いディフェンスで有効打を許さずカウンターを合わせたメイウェザーの試合巧者ぶりが光った結果ではないでしょうか。
試合後のインタビュー
メイウェザー「アウトサイドから上手く立ち回れた」
まず神に感謝します。ファンのみなさんにも。ラスベガスまで来てくれてありがとう。全世界のファンにも感謝します。彼はすごいファイターでした。マニー・パッキャオは素晴らしいです。なぜ頂点を極めたボクサーか分かりました。彼が押してくるのは分かっていました。彼の瞬間もありましたが、私はアウトサイドから上手く立ち回りました。彼がコーナーでで攻撃をまとめてくるのも読めました。彼は厳しい対戦相手でした。
父に感謝しています。私はじっくり攻めないといけないことを分かっていました。これまでどの試合も大事でした。彼はタフな相手でお互いベストを尽くしました。(実現まで5年待った甲斐があった?)歴史が告げてくれるでしょう。もう1試合あります。スポンサー各社に感謝します。次は9月です。私もそろそろ40歳で、このスポーツをやって19年経って18年チャンピオンです。今後はチームのみんなと相談します。次は9月に試合します。みなさん本当にありがとうございました。
パッキャオ「私はパンチも当てたし、勝ったと思った」
いい試合でした。私は勝ったと思いました。彼は何もしていませんから。何度か私がパンチを当てた場面もありました。私が勝ったと思いました。彼はよく動き回っていましたね。コントロールも上手かったです。私もカウンターを狙っていました。でも試合はこんなもんです。彼のパワーは大丈夫です。手に負えます。マルガリート、コット程じゃないです。(体格差は)彼はさして大きくないです。もっと大きい相手と戦ってきましたから。今後は少し休暇を取って少し休みます。
試合の途中経過
試合前のセレモニーでまずフィリピン国歌の斉唱、続いてアメリカ国歌は俳優のジェイミー・フォックスさんが歌いました。
パッキャオが先に入場し小刻みに体を動かしながらもリラックスした表情で時折笑顔も見せ、スマートフォンでの自撮りを行うなど、いつもの試合と変わらない様子でリングへ向かいました。リングでは観客の歓声に応え両手を突き上げます。
メイウェザーの登場時にはブーイングが沸き起こるも静かな表情でリングへ向かい、リングでも軽くステップを踏んで決戦に備えています。
1R
パッキャオは頭を下げてメイウェザーの懐に入り込もうとしており、メイウェザーは左ジャブを積極的に出しパッキャオの侵入を牽制しています。
2R
パッキャオは1Rよりも激しくメイウェザーにプレッシャーをかけロープに詰めるも、ジャブと右ストレートを有効に使いパッキャオを食い止めます。
3R
メイウェザーは脇の下で抱え込むクリンチに逃れるたびに場内のブーイングは激しくなるも、メイウェザーは得意のL字ガードで防戦。
4R
ロープを背にするシーンの多いメイウェザーはL字ガードで防御を固め、パッキャオは左ストレートをボディに入れていきます。パッキャオの左ストレートにメイウェザーが後退し、左右の連打を浴びせる場面もカウンターを狙っているのか。
5R
メイウェザーはやや距離を取り、パッキャオの侵入を許さない状況。
6R
いよいよ中盤戦。半ば強引気味にパッキャオが前に出て主導権を取ろうとします。しかしメイウェザーにクリーンヒットはせず。パッキャオのラッシュにもメイウェザーは首を振り「効いていない」とアピール。
7R
メイウェザーが右のフックでパッキャオに迫るも、ステップを生かしクリーンヒットを与えません。しかしパッキャオが前に行こうとするとメイウェザーがジャブを合わせて踏み込みタイミングをつかみきれません。
8R
メイウェザーはここにきてパッキャオの動きを読めてきたのか、パッキャオのパンチを当てさせません。
9R
前に出てロープ際に追い詰めるパッキャオにクリンチで対応するメイウェザー。パッキャオが飛び込んできたところに左フックのカウンターを狙います。
10R
パッキャオが積極的に前に出てコーナー、ロープ際に追い詰めるも巧みなステップで体を入れ替えるメイウェザーは巧みに体を動かし有効打を与えていません。
11R
メイウェザーが前に出ていくもパッキャオも左ストレートで応戦。パッキャオの手がやや止まったきたか。
12R
いよいよ最終ラウンド。巧みなガードでメイウェザーはパッキャオの侵入を最後まで許さず。
破格のファイトマネー
「フロイド・メイウェザー・ジュニア」と「マニー・パッキャオ」戦の観戦チケットは、最も高い特別席が1万ドル(約120万円)で、一般向けは1500ドル(約18万円)から7500ドル(約90万円)の価格帯となっていました。
非常に高額ながら、一般販売分の500席はインターネットや電話による発売開始から1分ほどで完売したといい、イギリスのチケット販売サイトでは正規7500ドル(約90万円)のリングサイド席チケットが3万8000ポンド(約700万円)と7倍近い値で販売されることになりましたが、この価格でも15分で売り切れたといいます。
また、会場のMGMグランドの系列ホテルで行われるパブリックビューイングは150ドルのチケットを5万席分販売しており、スポーツ局ESPNによると、入場料総額は7400万ドル(約88億4千万円)に達する見込みです。
両者に支払われるファイトマネーはあわせて2億ドル(約240億円)以上といわれ、「フロイド・メイウェザー・ジュニア」が1億2000万ドル(約144億円)、「マニー・パッキャオ」が8000万ドル(約96億円)で分配され、さらに有料放送の販売数に応じたPPV報酬が支払われることになります。
世紀の一戦のPPV視聴料は、89.95ドル(約1万800円)、高画質版は99.95ドル(約1万2000円)に設定されており、過去最高のPPV契約数である2007年の「メイウェザーvsデラホーヤ」戦の248万件を上回ることが確実で、仮に過去最高の248万件と同様と仮定してもPPVの売り上げは約270億円となります。
なお、今回のビッグマッチのPPV放送についてはメイウェザーが契約する「ショータイム」、パッキャオと契約する「HBO」の2つの放送局がともに中継するという異例のダブル中継は、2002年の「マイク・タイソンvsレノックス・ルイス」戦以来となります。
ファイトマネーとPPV報酬を合わせた報酬額は、両者合わせて3億ドル(約360億円)以上となることが推測されています。
「フロイド・メイウェザー・ジュニア」
「フロイド・メイウェザー・ジュニア」はボクシング現役最強王者と言われ、アマチュアで90戦84勝6敗、アトランタオリンピックフェザー級で銅メダルを獲得後、プロデビューを果たしました。1996年10月のプロデビューから現在に至るまで47戦47勝(26KO)の戦績で、5階級制覇を成し遂げています。
- アトランタ五輪フェザー級銅メダル
- WBC世界Sフェザー級王座
- WBC世界ライト級王座
- WBC世界Sライト級王座
- IBF世界ウェルター級王座
- ※史上初めて無敗で5階級制覇達成
- 生年月日:1977年2月24日・38歳
- 国籍:アメリカ
- 身長:173cm
- リーチ:183cm
- ニックネーム:マネー
「マニー・パッキャオ」
「マニー・パッキャオ」はアマチュアでの戦績は64戦60勝4敗、1995年1月のプロデビュー後、次々と階級を上げていき、数々の名王者、超一流と言える選手を圧倒していき、現在まで64戦57勝(38KO)5敗2分の成績を残し、史上2人目の6階級制覇王者となっています。
- WBC世界フライ級王座
- IBF世界Sバンタム級王座
- WBC世界Sフェザー級王座
- WBC世界ライト級王座
- WBO世界ウェルター級王座
- WBC世界Sウェルター級王座
- ※史上2人目の6階級制覇達成
- 生年月日:1978年12月17日・36歳
- 国籍:フィリピン
- 身長:169cm
- リーチ:170cm
- ニックネーム:パックマン