へその緒を切るのを2、3分遅らせると運動能力等が上昇

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突然だが想像してみてほしい。
生まれたばかりの瞬間で、その後の能力形成に影響があるということを。

赤ん坊が生まれたときに、「へその緒」を切るのを数分遅らせることで、生後数日間の成長や、4歳時点での運動能力と社会的評価が高まることがわかりました。

スペインのグラナダ大学とサン・セシリオ大学の研究グループが、生後数日間の成長に関してアメリカ小児科学会の機関誌であるペディアトリクス誌で2014年12月15日に報告しており、スウェーデンのウプサラ大学の研究グループは4歳時点での運動能力について同じくペディアトリクス誌に2015年5月26日に報告しています。

へその緒を切るのを2、3分遅らせよ、4歳のときの運動能力と社会性評価が高まると確認
http://www.mededge.jp/a/gyob/14036

「へその緒を切るのは2分遅らせよ」赤ちゃんが育つ
http://www.mededge.jp/a/gyob/6642

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へその緒を切るのを遅らせることで抗酸化能力が高まる

スペインのグラナダ大学とサン・セシリオ大学の研究グループでは、正常妊娠で自然分娩した64人の健康な妊婦を対象として、赤ん坊の半数は生まれてから10秒後にへその緒を切り、残り半数は2分後に切るという検証を行いました。

2分後にへその緒を切った赤ん坊は抗酸化能力が高くなり、誘発分娩を行って生まれた場合に起こる体の炎症効果が控えめになったといいます。

出産中・直後の赤ん坊は炎症が起こりやすくなっており、異物からの防御のためにも有効な反応ですが、強すぎる反応は赤ん坊自身の身体を痛めることにもつながり、適度な反応が良いとされています。

研究者は「へその緒を切るのを遅くすることで抗酸化能力が高まり、分娩中の炎症シグナルが低くなる。その結果として赤ちゃんの生後数日間の成長が上向く」と研究者は語っています。

生後まもなくの鉄不足を防ぐ

へその緒を2~3分ほど遅らせて切る医療行為は、「遅延臍帯(ちえんさいたい)クランプ」と言い、へその緒を生まれてすぐに切る医療行為は「早期臍帯(そうきさいたい)クランプ」と言います。

へその緒を2分遅らせて切る「遅延臍帯クランプ」を行うことで、生後数日間の成長が上向くことに加え、生後4か月から6か月での鉄分不足を防ぐと見られており、赤ん坊の鉄欠乏症を防ぐことで神経の発達を促す可能性があると見られています。

遅延臍帯クランプと早期臍帯クランプの影響を検証

スウェーデンのウプサラ大学の研究グループは、2008年4月から2010年5月にかけてスウェーデンの病院でランダムに2つのグループにわけて遅延臍帯クランプと早期臍帯クランプにした検証が行われました。

この検証について、4歳時点での遅延臍帯クランプと早期臍帯クランプの影響を追加検証するべく、妊娠時に大きなリスクにさらされず、生まれるのが早くも遅くもない満期産で生まれた382人を追跡調査しました。

2012年4月から2013年7月までの間に、「ウェクスラー式個別知能検査」「発達性協調運動障害」と呼ばれる検査でこども自身の知能や運動能力を調べる一方で、2012年4月から2013年8月にかけて、親に対してもこどもの発達状況や、育児の中でのこどもの行動について聞き取り調査を行いました。

男児を中心に運動能力などの平均値が高くなる

調査全体の約7割、263人分のデータを分析した結果、遅延臍帯クランプでは人格面で社会的評価の点数や細かい運動能力の評価で平均値が高くなると分かりました。

しかし、知能についてはへその緒を切るのを遅らせる遅延臍帯クランプと早期臍帯クランプに違いは認められませんでした。

また、性別でみると男児の結果が顕著となり、知能検査に加えて人格的な社会的評価、細かい運動評価について複数の条件で調節した平均差が明らかに高い結果を示しています。

研究グループは、「へその緒を切る時間を最適化すると、高所得国に生まれたリスクの低い子どもでは、神経の発達に影響を及ぼす可能性がある」と説明し、今後、日本でもへその緒を遅く切る医療行為の評価が高まってくるのではないでしょうか。

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